雪草乃記 Ⅲ

手織りを始め、葛に取り組むようになり、そして着物を着ることを始めるようになってから、インナー類以外は市販の服が買えなくなってしまい、結果、手元の衣類は減る一方で追加されず、現在、着物とアウトドアウェア以外はほんの1、2枚しか持たなくなってしまい、自宅では毎日くたびれた同じ服をずーっと着ているという、しょうもない状態に陥っており、それが10年以上続いています。いよいよ、何とかしなければならないなぁと思い、外出するときは着物類かアウトドアウェアを着るようにする方法と、外出着として着古した布をリメイクして普段着にしていく良い循環方法を、ここ数年考えています。（まぁ、私ですから普段に着物を「きちんと」着ることは少ないです）

なぜ市販の一般的な衣類にお金が出せなくなったのか？それはそれらの布と（カタチや着心地を含めた）縫製に魅力を感じなくなってしまったからです。ハイブランドなものには縁がなかったので分かりませんが、少なくとも私がそれまで買い物していたエリアでは、お金を出したいと思えるものがなくなってしまった。手織りの布と着物（とアウトドアウェア）には、それだけの力があるのだと思います。

「世の中に良いものが増えれば世の中が良くなる」というような事を柳宗悦が書いています。
皆の「布を見る目」が豊かになれば、自然環境・労働環境的に問題の多いファッション業界は大きく変わるのではないかと本気で考えています。